あたしは自分のからだを舐め始めた。 

舐めているあいだだけ悲しみを忘れられたから。

あたしはママのように人間におねだりすることをおぼえた。 でも、ママとは違い絶対に人間の近くにはいかない。 
あたしの横腹に、ママと同じふたつのお月さまができた。 

ふたつの月は悲しみの月であることを知った。

ママがいたころは何も考えずにお腹いっぱい食べていたけど、ごはんを見つけることは 大変なこと、生きていくのは こんなに辛いことだったんだ。